震災直後から災害対策に追われ、妻を捜せずにいた戸羽市長は「見つかってよかった」と涙を浮かべた。
戸羽市長によると、見つかったのは、自宅から200メートルほど坂を上った場所。5日午後、警察官から知らされた。公務のためすぐに安置所に行けず、対面できたのは数時間後。「ごめんな」と何度も声をかけた。

自宅にいた久美さんは、避難するために近所で声をかけ合っていたところを津波に流されたという。

「妻を早く見つけてあげたい」。常に思っていたが、捜しに行く時間はなかった。その間に、長男の太河君(12)が黙って母親の捜索願を災害対策本部に出していた。
戸羽市長は28歳の頃、父親の地元の陸前高田市に移り住み、食品会社に入った。そこに総務担当として入社してきたのが、久美さんだった。いつも自然に振る舞う姿にひかれ、間もなく結婚した。

陸前高田市長の妻、遺体で確認 激務のなか安置所で再会 2011年4月6日 朝日新聞