「私はホルンを吹いていたのよ」。瑠璃さんが9歳で小学校のバンドに入ってトランペットを始めると、宜子さんはうれしそうだった。今も使う楽器はその時、祖母の隆子さんが「ずっと続けてね」と買ってくれたものだった。
2人は演奏会に熱心に来てくれた。「すごくよかった」「次も頑張ってね」。演奏が終わると、宜子さんは必ず声をかけてくれた。

「母さん用意してくれた舞台…」負けないで、東京で吹く 2011年5月15日 朝日新聞

がれきで覆われた岩手県陸前高田市。佐々木瑠璃さん(17)は11日、自宅跡に立ち、行方不明者の捜索が続く海に向かってZARDの「負けないで」をトランペットで吹いた。津波で母親の宜子さん(43)、祖母の隆子さん(75)を亡くし、祖父の廣道さん(76)は行方不明のままだ。

私は元気だよ 家族奪った海へ、追悼のトランペット 2011年4月11日 朝日新聞