東日本大震災の津波で亡くなった岩手県釜石市の90歳の女性の遺品から、1933(昭和8)年の三陸大津波の直後につくられた鎮魂歌を吹き込んだテープが見つかった。

(磯崎)咲子さんが詩吟の伴奏用の電子楽器をひきながら歌う約3分間のテープ

曲は大津波の後に作られた「慰霊の歌」と「復興の歌」。旧岩手師範学校の音楽教師2人が作曲したという。復興の歌は「大津浪くぐりてめげぬ雄心もていざ追ひ進み」とあり、慰霊の歌は、死者の霊が復興の世の柱になると歌う。

釜石に生まれた咲子さんは昭和三陸津波を経験した。生前、多くは語らなかったが「真っ黒い海水が家を流していた。山へ逃げた」と時折振り返った。(次男吉弘さん)

津波で逝った釜石の90歳、昭和三陸大津波の鎮魂歌残す 2011年6月5日 朝日新聞