「きょうの慰霊祭をきっかけに、少しずつ前を向きたい」。富谷町の会社員山内朋子さん(26)は涙声で話す。
父親の山内吉勝さん(58)=南三陸消防署、消防監、殉職で2階級特進=と、交際していた佐藤清勝さん(36)=気仙沼消防署唐桑出張所、消防司令長、同=を同時に亡くした。

父親から「いい人がいる」と佐藤さんを紹介された。誠実な人柄にひかれ、クリスマス前に付き合い始めた。
「大事な話がある」。佐藤さんは震災前日の3月10日、朋子さんに電話した。「もしかしてプロポーズ?」。朋子さんはあえて聞かず、3月12日に会う約束をした。

非番だった吉勝さんと佐藤さんは、南三陸町の南三陸消防署前に駆け付け、住民を高台に逃げるよう誘導していて津波にのみ込まれた。
朋子さんは「2人とも私の誇り。でも、本当は生きていてほしかった」と泣き崩れた。

聞けなかったプロポーズ/交際相手が殉職、宮城・富谷町の山内さん「前向いて生きる」 2011年9月26日 河北新報