津波で両親と祖父を失った4人きょうだいが福島県いわき市の避難所で「頑張ろう」と心を奮い立たせている。家族7人で暮らした家は津波で流された。

近藤真理奈さん(17)は地震発生時、バドミントン部の練習で高校の体育館にいた。駐車場に避難すると「ドーン」という音が聞こえた。自宅は海の目の前。「津波かも」と嫌な予感がした。父繁盛さん(57)、母康子さん(41)、祖父久弥(きゅうや)さん(85)が家にいる時間帯だったからだ。
長男真貴(まさき)さん(21)も自宅にいた。飼い猫と2階に上がった時に津波が押し寄せて流されたが、松林で木にしがみついて助かった。長女真優(まや)さん(23)は勤務先の市内の電器部品製造会社にいた。次男で中学1年の真賢(まさよし)君(13)も逃げ出し無事だと知人から知らされ、きょうだい4人が避難所で再会できたのは3日後だった。

久弥さんがいつも身に着けていた銀色の時計は形見として残った。真賢君は「大人になったら、じいちゃんの形見を腕に巻く」と決めた。

「私がいなくなったら何もできないんだから」。真理奈さんは、そんな康子さんの言葉を思い出す。

4人の名前には、両親が好きだった言葉の「真」が入っている。「頑張っていけることを見せたい。力を合わせて、4人で」

「4きょうだい、力合わせて」 2011年3月26日 毎日新聞