東日本大震災追悼式

 
各地で地震発生から1年の2012年3月11日午後2時46分に黙祷が行われ、数々の追悼の言葉が寄せられました。
公務の追悼の辞をいくつかをまとめて掲載します。
 

天皇陛下
政府主催の「東日本大震災1周年追悼式」
 
東日本大震災から1周年、ここに一同と共に、震災により失われた多くの人々に深く哀悼の意を表します。1年前の今日、思いも掛けない巨大地震と津波に襲われ、ほぼ2万に及ぶ死者、行方不明者が生じました。その中には消防団員を始め、危険を顧みず、人々の救助や防災活動に従事して命を落とした多くの人々が含まれていることを忘れることができません。さらにこの震災のため原子力発電所の事故が発生したことにより、危険な区域に住む人々は住み慣れた、そして生活の場としていた地域から離れざるを得なくなりました。

この機会に、被災者や被災地のために働いてきた人々、また、原発事故に対応するべく働いてきた人々の尽力を、深くねぎらいたく思います。

そしてこの大震災の記憶を忘れることなく、子孫に伝え、防災に対する心掛けを育み、安全な国土を目指して進んでいくことが大切と思います。
 

天皇陛下 哀悼のお言葉=全文 読売新聞
 
 

野田佳彦首相
政府主催の「東日本大震災1周年追悼式」
 

亡くなられた方々の無念さ、最愛の家族を失われたご遺族の皆様の深い悲しみに思いを致しますと、悲痛の念に堪えません。ここに衷心より哀悼の意を表します。また、今もなお行方の分からない方々のご家族を始め、被災された全ての方々に、心からお見舞いを申し上げます。
亡くなられた方々の御霊(みたま)に報い、そのご遺志を継いでいくためにも、本日、ここに三つのことをお誓いいたします。
一つ目は、被災地の復興を一日も早く成し遂げることです。

二つ目は、震災の教訓を未来に伝え、語り継いでいくことです。

三つ目は、私たちを取り結ぶ「助け合い」と「感謝」の心を忘れないことです。

我が国の繁栄を導いた先人たちは、危機のたびに、より逞(たくま)しく立ち上がってきました。

永遠に御霊の安らかならんことをお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆様のご平安を切に祈念して、私の式辞といたします。
 

野田首相のあいさつ=全文 読売新聞
 
 

横路孝弘 衆院議長
政府主催の「東日本大震災1周年追悼式」
 

突然、幸せな日常を奪われて、亡くなられた方はどんなにか無念だったでしょう。ご遺族の悲しみはいかばかりかとお察し申し上げます。

心が痛みます。

福島では東京電力の原子力発電所が爆発事故を起こしました。20キロ圏内やその周辺地域に住む多くの方々は避難を余儀なくされ、慣れない土地で生活を送っておられます。いつまで不自由な暮らしが続くのか、望郷の思いはいかばかりか、想像するにあまりあります。
しかし、未曽有の苦しみの中から、私たちは人々の絆を確かめることもできました。

自分が津波にさらわれる瞬間まで、一人でも多くの命を救おうとした人たちがいました。自らの危険を顧みず、原発事故の現場で収拾に奮闘した人たちがいました。

日本人の絆は、世界の連帯に広がっていったのです。

ある中学生は、「過去は変えられないけれど未来は変えられます。先の見えない未来だけど、私は一歩一歩、強く歩んでいきたい」とつづっています。

反省すべきは反省し、そこから教訓を得て、未来のために生かしていかなければなりません。

 

〈東日本大震災追悼式〉衆院議長の「追悼の辞」 朝日新聞
 
 

平田健二 参議院議長
政府主催の「東日本大震災1周年追悼式」
 

津波にさらわれ、泥だらけになって帰ってきた亡骸(なきがら)に、「ごめんね」「迎えに来たよ」と、その泥をぬぐいながら、何度も何度もほおをさすって、手を握って——。数え切れないほどのあまりにもむごい別れと、慟哭(どうこく)がありました。
大震災から1年という時間は過ぎましたが、残された方の悲しみが、いつの日か癒えることを願わずにはいられません。

私たちは地震から逃れられない土地に暮らしています。

残された私たちは、懸命に生きていかなければなりません。

 

〈東日本大震災追悼式〉参院議長の「追悼の辞」 朝日新聞
 
 

竹崎博允 最高裁長官
政府主催の「東日本大震災1周年追悼式」
 

過去幾多の災害の経験を経て、周到な対策が立てられていた地域であったにもかかわらず、激震と想像を超えた津波によって、死者1万5854名、今なお行方不明の方々の数は3155名に上る被害となりました。文字どおり、戦後最大の自然災害であったというほかはありません。
犠牲になられた方々の恐怖はいうまでもなく、平和な生活を一瞬のうちに奪われ、最愛のご家族を失われたご遺族の方々の悲しみを思いますと、痛恨の極みであり、哀惜の念に堪えません。

我が国は、科学技術の発展に努め、また防災についても種々の対策を講じてきました。このたびの大震災は、自然の前に、私たちの生活がいかに脆弱(ぜいじゃく)な基盤の上に築かれていたものであるかということを改めて認識させることとなりました。

私たちは、国の力のすべてを挙げ、この災害からの復興に努めていかなければなりません。

それとともに、今回の大震災を新たな教訓として、自然に対する畏怖(いふ)の念を深く心に刻み、災害への対処を怠ることなく、安全な社会を築いていくことが、犠牲になられた方々に対する何よりの慰霊であり、私たちの責務であることを銘記しなければなりません。

 

〈東日本大震災追悼式〉最高裁長官の「追悼の辞」 朝日新聞
 
 

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