岩手県大槌町の町立大槌中学校相撲部を全国大会の常連に育てた駒林規也(もとや)さん(当時41歳)が、東日本大震災で亡くなった。長男雄也さん(19)は父の後を継いで同部のコーチに就任する決意をしたが、この春高校に入ったばかりの弟、高校3年の妹がいる。

遺体安置所で対面しても信じられなかった。祖父達雄さん(同72歳)も亡くなった。

監督として約20年間、指導に当たってきた規也さん。消防団員として活動中に津波にのみ込まれた。同町安渡(あんど)の漁港近くにあったけいこ場のプレハブ小屋は、土俵ごと跡形もなく流された。部員6人のうち5人が自宅を流され、避難生活を続けている。

高校を卒業して社会に出たばかり。父のような調理師になるのが夢だったが、震災で見送った。弟や妹たちを支えていかなければならないが、今後のことは白紙のまま。今は練習に出るほか、家の手伝いをしたり、避難所に顔を出してボランティアをして過ごしている。

東日本大震災:長男がコーチに 父が育てた大槌中相撲部 2011年4月25日 毎日新聞